プライドマン~誇り低き戦士の日常~

プライドの高い私が日常の愚痴や不満を心温まる言葉でまる~く収めるブログ

あの時私が出した答えは…

あの時私が出した答えは間違っていなかっただろうか。

 

不安と希望を胸に社会人としてのスタート

約18年前、私は高校卒業と同時に、とある田舎の食品工場に就職した。

 

当時は社会のことなど何も知らなただの若造でした。

言われるがままに雑用をこなし、わからないことを聞けば怒られる。

 

分からないままでいればさらに怒られる。こんな矛盾の中でもこれが普通だと

思っていたため、何も気にせず働き続けた。

 

食品工場ということもあり、周りが大型連休をする時でも何一つ変わらず

普通に出勤し、休みはシフト制で週に2回。

ボーナスも少なからずあるし、休みも月に8回ほど。

 

これといって不満もなく毎日を過ごしていた。

 

その中でも楽しみといえば力仕事で筋力が鍛えられるということだけ。

もともとヒョロヒョロな体形がコンプレックスでもあったので、力仕事は

率先して自分から引き受けていた。

 

突然の嫌がらせ

しかし、3年も経ったころ仕事も覚え、一人ですべての事を出来るくらいには

仕事を熟知し、あとはさらなるスピードと丁寧さを追い求めることが日課となり

始めたころ、工場長から不意に聞かれた。

 

「トラックにへこみの傷があるけどお前か?」

「え?いや、違います」

急に聞かれびっくりしたが、思い当たる節がない。

「じゃあ誰?」

「わからないです」

分かってたら報告するさ!と思ったがそこからさらに、

「お前以外に考えられる人がいないんだけど?」

「え-?いや、ほんとに違います。」

 

なぜだ?なぜ疑われる?普段から特にこれといって問題を起こすタイプでも

なく、若いほうでは真面目に働いていると自分でも思うほど真面目に仕事をしていた。

 

もちろんミスしたときはきちんと報告もしていたし、いったいなにが原因だろう?

 

数日後、朝礼でトラックをぶつけた犯人が見つかった。

それは、工場長だった。

 

大笑いしながらあの時ぶつかってたみたいだな!ははははは。

 

ふざけんなよ!こっちはお前に犯人扱いされて嫌な気持ちのままいたのに、お前なに笑ってんだよ!

怒りに満ち溢れたが、当然それをいう事も出来ずその日の仕事はいつも通り行われた。

 

その日を境に、もう一人の定年間近のおじいさんにまで、何かと文句を言われるようになった。

普通に仕事していると急に、「仕事しなくていいから邪魔するな!」と何度言われたことだろう。

なぜ急に?と本当に何度も思った。そしてなぜ俺?

 

わからない。なぜ俺だけが怒られるのか?

 

ずっと我慢しながら1年が過ぎたころ、社員全員が株主総会に出席することとなった。

 

心に決めた株主総会

この会社の社員は入社2年目以降は給料から天引きで株を買うことが決まっていて

最年少の私の引き落とし金額が株の1口に達したことで全員出席するということになったらしい。

社長と専務からせっかくだからそこで要望や言いたいことを言ってほしいと全員に告げられた。

当然だが、そんなの言えるわけないw

 

ましてや最年少の俺が言うなんてことはどう考えても無理。

 

しかし、そのころの私は工場の中でも仕事がそこそこ出来るようになっていたため

問題点や会社の進むべき道は何となく把握しているつもりだった。

 

そこの会社の問題点と進むべき道の両方をとらえた問題として営業部がないと

いうことが俺の中での最大の問題点だと感じていた。

 

株主総会の2か月前くらいに専務と二人きりで話す機会があったのでそれとなく

聞いてみた。

「営業部とか作らないんですか?」

その答えは、

「だれがするの?いらないでしょ。」

 

あちゃ~完全にこの人気付いてないよと思うのは当然。

仕事も毎年減ってきている状況で、なぜ攻めることをしないのか?

このままでいいのか?

大手との取引があることで仕事は無くならないと勘違いしているこの専務。

 

工場長はといい、専務といい、終わってる…

 

そこで株主総会にすべてをかけることにした。

 

辞める覚悟で、一言かます!!

 

少なからず熱意は伝わるだろうと本気で思っていた。

 

そして迎えた当日…転機を迎える!

通常通り朝から仕事をしていたが、緊張して思うように進まない。

 

言おうか、言うのやめようか。何度となく葛藤した。

 

そして、ついにその時がやってきた。

 

総勢何人くらいいたのだろう。

150人くらいだろうか?おっさんたちがぞろぞろと集まり始めて

なにやら楽しそうに話している。

 

そして時刻が19時を指したとき総会は開かれた。

 

開会から始まり、今期の方向性についてや、売上高の話など社長から

告げられていく。

そして、その時はやってきた。

 

一通りの話が終わり、各株主が発言を行う時間。

みんなはどんなことを言うのだろうとドキドキしていると…

ん?誰もなにも言わない。年寄の株主でさえ、うたた寝をしているかと思うくらい

静かにしている。

 

あれ?どうゆう事?と戸惑っていると、

「では、これにて…」やばい!終わっちゃうっ!と

サッと手をあげてしまった…

 

もちろん言う気でいたがここまで静かなのは想定外!

 

が、すでに手は上げてしまった。

「どうぞ!」と社長から指名されて慌てて立ち上がり、そして、

 

「営業部の設置を検討したほうがいいと思います!!」

 

言い放ちました!

 

すると、ざわざわ…ざわざわ…と周りが話し出したと思ったら

 

全員が俺を凝視!ドキッっとしたまま立っていると

 

先代社長が俺を見て一言。

 

ガキは黙ってろ!

 

………

 

この言葉を聞いてすぐに分かりました。

この会社に未来はない!今すぐにやめるべきだ!と

 

その年の秋に私は会社を辞めました。

 

今は職人の仕事ではなく営業職に就きそこそこの成績を出しています。

 

もしもあの時、周りの雰囲気にのまれて発言しなかったらそのまま

そこの会社に残っていたかもしれない。

 

営業職についてすごくいい経験をさせてもらえている。

今の俺があるのもあの時勇気を振り絞って発したあの一言!があったからだと思う。

 

その経験は今でも悩んだときに自分の中の力として壁を乗り越える一つの

カギとなっていると思う。

 

でも、当時働いていた会社は規模も大きかった。

今の会社より給料やボーナスなど含めても圧倒的に優遇されている。

 

だからこそ、ときどき考えることがある。

 

あの時私が出した答えは…本当に正解だったのか……それとも…